皆さん おはようございます。
このブログをご覧になっている方の中には、
色んな意味で、
物を販売している方も多いと思います。
私の様に車であったり、八百屋さんなら野菜を売ったり、
電気屋で家電を売ったりと。
そこに共通して言える事は、
「人に物を売る」お客さん相手の商売。
これはかなり難しい事。
何故なら、
其の店にしか無い物を売るのなら買い手は黙っていてもやって来るが、
家電量販店を見たら分かる様に、
ヤマダ電機、ヨドバシカメラ、エディオン、ビッグカメラ等々。。
同じテレビを売る同じ様な電気屋が多数ある。
ならば「買い手のお客さんは何を基準に店を選ぶのか?」
一番は値段と言いたいところだが、
昨今はウェブの発達で、
どこでも、ほぼ同じディスカウント価格。
「2番目は?」
親切丁寧な店員の接客態度。
他店と差を付ける意味で、これは常識になっている。
其処の店員に求められるのは豊富な商品知識と
次に大事なのが「人柄」「人格」だ。
客が質問した時にブスッとした態度で受け答えをする。
もしくは、
笑顔で質問にテキパキと答え親しみを持たせる会話をする。
言うまでも無く、誰もが後者を選ぶだろう。
つまり「お金を出す」買う側の人の心理は、
たとえ八百屋でキュウリ1本買う時でさえ、
「お前から買ってやる」
買わせて貰うのでは無く、「買ってやる」
言ってみれば、
殿様と家来の関係の様なもの。
だからキュウリやトマトなど数百円の買い物にも、
丁寧に商品を渡され、頭を下げて「有り難うございます」
と言われれば、明日も買いに来ようかとなる。
昔の話だが。。
ロールスロイスのディーラーのショールームに
軽トラで乗り付けた一人の男性がいた。(たぶん仕事帰り)
彼は若造の営業マンに、
「どうせこいつは、ただのひやかしだろう」と横柄な態度を取られ、
腹が立ち、
別のディーラーで車を買ったという話があった。
この男性は、かなりのお金持ちだったのだ。
人を見た目だけで判断して失敗する例は意外と多い。
「人間は制服通りの人間になる」と言われる。
警官は疑り深い人間になり、
教師、医者は上から目線のものの言い方。
このロールスの営業マンの場合、
ロールスが数台並ぶショールームで真っ当な背広を着て、
綺麗な受付のオネーチャンと一緒に仕事をしている自分に
「自らが酔っている」
見た目のカッコ良さばかり追求している様では、
数千万もする車を売る営業のプロにはなれない。
ただし物を売るのは、キュウリ1本にしてもロールスでも根本は同じ。
お客さんが選んだ商品がプロの目から見て少し傷んでいたら、
「こちらの方が新鮮です」とアドバイスする。
車の場合は買い換えが難しい商品だから、
徹底して、相手の希望や要望を聞き、最適なアドバイスをする。
(押しつけない範囲で)
自分をお客さんの立場に置き換えて、
「やって貰ったら嬉しいこと」を率先してやると良い。
私の永遠の師匠、1988年に亡くなった、
元シーサイドモーターの社長「松澤巳晴」

彼はまた違った意味で、優秀な営業センスの持ち主であった。
対面時は勿論のこと。
電話で会話する際も、「笑顔を絶やさない」
それも優しい低い声で、にこやかに笑いながら。
私は新米セールスの時、
「何でこの人は電話で相手の顔が見えないのに、
また自分の顔も相手からは見えないのに、
これほど丁寧に笑顔を絶やさず話をするのかな」と不思議だった。
それから40数年経った今、
その理由がよく分かる。
対面時でも、電話でも大事なのは、
「相手に気持ちを伝えること」
久しぶりの対面なら、
「ご無沙汰していてすみませんでした、お変わりないですか?」
これを自分の笑顔と好感の持てる声のトーンで相手に伝える。
電話じゃ自分の表情は相手に見えないから
より多く言葉に抑揚を付けて相手に気持ちを届ける様にする。
これらを実践していた己晴さんは、
数多くのお客兼友達を増やし、シーサイドの礎を築いた。
私も真似をしているが、己晴さんの様にはなれない。
私に「素敵な笑顔」は難しいからだ。
だから自分の得意とする、
初期のランボル、フェラーリの専門知識、経験
それらを自慢にならない様に相手に教え伝える。
これでカバーして今までやってきた。
わずか52歳の若さで、
フィリピンの暑さにやられて死んでしまった己晴さんと比べて
私は20年も長く生きてきた。
私の使命は、
彼が日本に初めて広めたランボルやフェラーリなどの
布教の歴史の語り部として
後世に車と共に伝えていくことだ。
新車で入った「カウンタック1号車」「フェラーリ365BB1号車」など
実際に触れた人間は私だけ。
その経験を伝えていくことが私の使命だと思っている。

最近ようやく笑顔が板に付いてきた
1951年生まれ
キャステルオート 社長
鞍 和彦