
みなさんおはようございます。
前回まで、レストアの固体をカナダまで買いに行った話でした。
これを日本に運び、まずやることは試運転です。
勿論車ですから、置物と違い走らせてナンボの世界です。
それも、それぞれの車の新車のときの性能にできるだけ復元することが目的ですから
今の時点で、どれくらい新車時と違うか、判りやすく言えばどれくらいへたっているかを
走らせて、診断するわけです。
この作業は、やはり経験と勘が必要です。
例えばこのLP400の場合、
新車で日本に上陸したのは、1975年、今から36年前です。
2011年の今日、今でも現役で当時から営業をやっているのは、何人?
答えは日本で私一人です。
幸い私は1974年の4月にシーサイドモーターに入社し、
LP400,フェラーリの365BBなど 数々の新車と触れることを経験しました。
私は今年で60歳になりましたが、当時の経験は今でも鮮明に覚えております。
さて、LP400の場合です。
試運転は、最低でも高速道路を距離で30~50キロ、
速度は150キロほどは出さなければわかりません。
あとは一般道でハンドリング、ブレーキ、水温、油温の上昇、エンジンの安定度
など、各種の点検、チェックを行います。
それらを元に、直さなければならない箇所をリストアップし、
それからエンジン、内装、またガラス類を外す作業を始めるわけです。
特に、ガラスはフロントは勿論のこと、サイドガラスでも予備が無い場合が
殆どなので、慎重な作業が必要です。
あらかた外し終わったら、ボディを板金屋に運び、そこから始めるのが
全体のラインの確認の後の、今の塗装の剥離の作業です。
これがかなりな手間がかかります。
逆に言うと、ここからが始まりと言う事です。
最近のよくある塗装屋がこの手の車のレストアを嫌がるのは、
人の手間が かなりかかるからです。つまり割りに合わないと。
この画像を見ると、塗装が薄い、つまり何度も塗りなおしを受けていないのが
判るでしょう。元の色も赤です。
これは珍しい部類で、3回以上塗られているのもよくあります。
いわゆる厚塗りです。手間が余計にかかるのは言うまでもありません。

この画像で、足が無いのが判るでしょう。
そう、全部のサスペンションも外して作業を行います。
この後、前後にジグをはさんで、バーベキューのように回転させるのです。

幸い当社の下請けには、これらの作業を文句も言わずにやってくれる人が数人おります。
勿論、感謝です。
私一人、あるいは当社だけでは出来ることは限りがあります。
今年も1年沢山の周りの人に協力していただいて、
それの習作が今回の形になって出来ていると思います。
今日は12月の29日ですが、来年も地道に復元作業を行って行きたいと思います。