皆さん おはようございます。
2日ほど仕事が立て込んで更新が遅れました。
理由は急遽買い付けにロンドンに行くことになったからです。
この暮れの忙しい時期にロンドンでもないですが、
私の仕事のスタイルは、即決即断、即行動です。
今回買い付ける予定の車は、オールドポルシェです。
希少性が高いらしく、かなりの金額です。
でもお客様が望むものが其処にあれば、直ぐに飛んで見に行くのが大事です。
ウロウロしていれば、この時勢誰かに取られてしまうかもしれません。
幸い私にはドイツのピーターという頼れるエージエントがおり、
彼のつてで、ロンドンにも優秀な代理人を紹介もしてもらいました。
勿論生粋のイギリス人です。
今まで彼から、右ハンドルのディトナを2台購入しています。
なので私は今週末の土曜日に羽田からロンドンに出かけます。
戻りはピーターに会いにいく加減で、木曜日になります。
今回は急ぎの旅ですので、沢山の仕事はできませんが、
何か紹介できるものがあればと思っています。
さて、前回のお話の続きです。
私がアメリカのヒューストンのフェラーリのディーラーから
新車のF40を買ったのは前回お話しました。
これを日本に運ぶには、まずはトラックでロサンゼルスまで移動し
その後、コンテナーに入れて横浜に船で運ぶ、
これが一般的です。
でもこの時、何故かお客様が飛行機で運びたいと言ってきました。
確かに航空貨物なら人間と同じ12時間のフライトです。
その前後にそれぞれで通関検査とかがありますが、
それでも船の2週間と比べるとかなりの時間の短縮です。
勿論費用はお客様が負担するとのことだったので、
私も同意し、直ぐに手配しました。
今思えばこれがなければ、このあとの事件は起きなかったと思います。
何故?
その時期、2月でまだ冬が終わっていなかったのです。
車は無事に成田に到着し、即効で翌日には通関を終え、(船よりも性格上速いのです)
私が自走で横浜に運びました。
翌日お客様が見にこられ、満足して帰られました。
次のステップは登録です。
その頃頻繁に仕事を任せていた、車検取得が専門の業者がおりました。
かなりレーシングカーに近い車でもナンバーを取ってくると評判の店でした。
私は何もためらいなく、F40を其処に運んであとは任せたよと言いました。
その二日後です悲劇が起きたのは。
車を其処に運んだ時は晴天だったお天気が、
翌日にわかにくずれ始め、次の日には朝から小雪になりました。
まだ本降りではないですが、道路にうっすらと白く積もるくらいです。
こういう時、慎重な人なら日にちをずらすか、あるいはローダーで運ぶか
選択するでしょう。
ところが其処の店から最寄りの陸運事務所までは僅か2キロの行程だったのです。
勿論利便性を考えてそこを選んだのでしょう。
新車の登録、あるいは予備検査の場合
現車を陸事に運んで 各種の検査をするコースを通らないといけません。
勿論その仕事を行うのはその店でも超ベテラン。
今まで数々の難しい車も車検を通してきています。
なので、F40も「慣れていた」
この慣れが怖いことは言うまでもありません。
僅か2キロの目と鼻の先
歩いても行ける距離
雨が降ろうが、雪が降ろうが気にするもんかい!
多分彼はそう考えていたのでしょう。
ところがこのF40という車、
完璧にドッカンターボ
イタリアのF1ドライバーでさえ、雨の日には乗るなと言わしめた車です。
私がよく言う、フェラーリはサラブレッド つまり「競走馬」です。
ランボルギーニは ファイティングブル つまり「闘牛」です。
なので、比べたら馬のほうが知性は高いのではと。
ところがそんなフェラーリ一族にあって、唯一の変わり種がこのF40。
動物で例えたら「蠍 さそり」 例の砂漠に住む猛毒を持った昆虫です。
だから人間が なだめようが、すかそうが一切のコミュニケートは無理
それを甘く見たF40のオーナーが事故したのを私は何度も見ました。
運転に自信がある人ほど事故しやすいのです。
簡単な理由で、この「さそり」をもう少し手のひらに乗せてみたい
正体をみてみたい、
その思いでアクセルを踏んでしまうと、それまで言うことを聞いていたかのように
思えた「さそり」は急激に闘争本能をむき出しにし
毒針を刺すのです。
もう皆さんお分かりですね。
天童よしみのCMでは無いですが、
ナメたらいかん、そういうことです。
続きます。