皆さん おはようございます。
今日は、私の生き方に影響を与えた数少ないひとりのお話です。
その方は、ある地方都市でホームセンターを開き
ついには私の地元の横浜まで出店してきました。
かなりの店舗数です。
彼の趣味は、とにかく動くものならなんでも
オートバイとか 一時100台以上所有しておりました。
記憶に残っているのが
アラビアのローレンスが実際に乗ったという
バイクを見せられた時でした。
また特にベンツが大好きで、私と知り合う前からも
かなりな台数のコレクションを有しておりました。
その後、親しくしていただき
アメリカに一緒に買い付けに行ったり
その方の地元で食事をご馳走して頂くなどの
親交がありました。
例のF40の事件も、
その方からのリクエストで日本に持ってきた車でした。
ところが、ご病気で昨年亡くなられました。
思い出すのは、
小柄な体型に似ず大きな声で部下を叱責する姿です。
自分一代で、ここまで会社を大きくしたという自負が
勿論あったのでしょう。
残された車は?
ベンツの300SLガルウイング、同ロードスターそれぞれ数台。
600プルマンやら、300S、 280 3.5カブリオレなど
10台以上です。
全てがミントコンデション。
なにしろ専属のメカニックを雇って手入れをさせていたほどです。
でもその持ち主が亡くなると車はどうなる?
まさか捨てる人はおりません。
1台が数千万以上です。
けれども家族には興味が無いものだったら?
おそらくバラバラに転売されていくでしょう。
私はそれを聴いてこう思いました。
やはり
「物には持ち主があってこそ価値がある」 と。
何故なら物、つまり今回で言えば車ですが
持ち主がいて、その人間の愛情がどれほどかでその車の価値も上がる
そういうことです。
今回の方も例にもれず
車に対する愛情は半端なものではありませんでした。
我々一般人の場合、同時期に数台も持てることは普通ありません。
けれど好きで買った1台に常に愛情を込めて接すれば
その車はその人にとり かけがいの無い存在になるでしょう。
車は人間と違い文句を言いませんし。
つまり車というもの、部品の集合体ではあるけれど、
犬のように可愛がれば懐いてくるし、
放ったらかしにすれば、錆びて朽ちていきます。
自動車博物館で見る車達が、なんとなく既に「自動車」ではなく
唯の置物になっているのを感じることはありませんか?
私の職業は、
人類にとって価値の有るビンテージスポーツカーを修復し、
普段乗りでき、しかも新車以上に輝きを増すことを求める
そういう仕事です。
その基本、原点は常にオーナーのためにある、
オーナーが愛情を持って可愛がる車に仕上げたい、
その思いです。
どうぞ皆様も自分の大切な1台を可愛がる気持ちを、
お忘れないように、お願いします。
人も車も生きていると言える内が華ですから。


近々、私の一番好きなミウラを2台、SとSV
皆さんにご覧いただくイベントを行おうと考えております。
この車こそ世界遺産です。