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覚悟を決めれば怖いものは無い、その2

皆さんおはようございます。

前回私がまだシーサイドモーターに在籍していた時
マセラティのボーラが行方不明になった事件をお話ししました。
暫くして関西の金融屋かヤクザとおぼしき男から、
車を返すから金持って取りに来い
という連絡がありました。
つまりタダではありません。
失踪した横浜の車屋が幾ら金を借りたかはわかりませんが、
彼らは新車じゃけん、1000万は価値があるだろうと言います。

これを販売したとき殆どが手形だったので、所有権を移す書類は渡しておりませんでした。
つまり彼らも第三者に販売は出来ないわけです。
ならば商売の始まりである、売り手に買い戻すように連絡するのが常とう手段です。
金額は当然交渉次第
けれど、まだ新米の営業の私には荷が重すぎました。
なので、とりあえず現車の確認をしに行って来いというわけです。

言われた場所は名古屋から近鉄に乗り換えて奈良の近くの田舎駅でした。
駅の外に出てみるといかにも田舎のヤクザ風の男が出向かえてくれました。
車は古いベンツ
後ろに乗せられ、とりあえず組事務所に向かいました。
すると番頭らしき男が「よう来たなワレ」 と椅子を勧めます。
今しがた横浜の組から車を返せとアホなことをぬかしてきたから
冗談もええ加減にせえや
と怒鳴りつけたとこや
私は事情は分かりましたが何も言えません。

ほな車を見せたるわ
と言われて近くの駐車場に行くと、
真っ赤なマセラティ ボーラは汚いボディカバーに被せられて置いてありました。
間違いなくシーサイドが売った車です。
時間は夕方になってきたので、近所の食堂で晩飯を奢ってもらい
お前今夜はここへ泊まれ 
と案内されたのは、いかにも古びたラブホでした。
そこへ行く途中、車のトランクを開けると中には
日本刀数本、ライフル銃のようなものまで放り込んでありました。
それを見てビビっている私を見て、
お前なあヤクザはこれくらいの準備をしとかなあかんのや
と言いました。

そのラブホの部屋に入ると中はケバイ事
ベッドは円形で回転機能付き
その真上には鏡が張ってあり
横にも鏡が囲うようにありました。
一人でそんな部屋で寝るのは寂しいものです。
私は早々に明かりを暗くして眠りにつきました。

翌日、事務所に連れていかれるとなにもすることなく待機です。
今と違い携帯もない時代です。
会社に連絡するにもいちいち許可を取らないといけません。
そうこうするうち日が暮れようとした時です
例の番頭が戻ってきて
喜べ、車持って帰ってええぞと言われました。
どうやら社長の計らいで横浜のヤクザと話が付いたようです。
私は急いで持参してきた仮ナンバーを車につけ
横浜目指して出発しました。
会社に着いたのは夜中の12時ころ。ショールームには己晴さんが
待っていてくれました。
私が得た勉強。
何事も諦めずに最後まで自分の仕事には責任を持つ
これでした。
ボーラで走った500キロの道のりは忘れることはありませんでした。
少なくともシーサイドが倒産するまでは。

プロフィール

CASTEL AUTO

Author:CASTEL AUTO
「子供の頃から純粋に車が大好きだった」

そんな無邪気な少年は自然の成り行きで1974年伝説のシーサイドモーターに入社。
46年経った現在も車に対する愛情と情熱は冷めやらぬまま
今日もひたむきに走り続けている。

キャステルオート
鞍 和彦

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