
皆さんおはようございます。
上の写真は当時、
世界でも最高峰のスポーツカー、フェラーリ365BB、
そしてカウンタックLP400の2ショットです。
場所は横浜本牧ふ頭のコンテナーヤード
後方、オレンジのカウンタックは日本上陸3号車。
私が新車から今のオーナーに至るまで、全て手を染めた個体です。
ミラーを見て下さい、
ビタローニの大きな四角い物を後付けしています。
このミラーはかなり視認性が良かった。
なので、手前のBBにもそれを付けていますね。
この写真自体、撮影したのが1977年頃。
さて、今日のお話はこれよりもう少し後、
1988年頃のこと。
カウンタックは初期型がLP400、次に4400S、その次が5000S
その次がクワトロバルブ、最後がアニバーサリーと
実に5回ものモデルチェンジをしております。
その中で、カナダの石油王 ウォルター ウルフ氏が
メーカーにリクエストして作らせた ウルフカウンタックが有名です。
これはベースがLP400 、それをフロントのチンスポイラーを付け
ワイドホイールに変えて、
それをカバーするファイバーのオーバーフェンダーが付いておりました。
もう一つは リヤーのトランクに載せた でかいウィング。
一目で分かる大きな特徴でした。
当時、東京の目黒にあった「オートロマン」がこの車を輸入し、
私も運転させてもらいました。
F1 用みたいなごく小さなステアリングが付いていましたが、
エンジンがメチャ重く、全く加速しない
それでも角川映画の「蘇る金狼」で主人公が買って、
早朝の銀座を走るシーンが話題になりました。
下の画像はスーパーカーショーの始まりと言える、
東京の有明にあった国際展示場で行った、サンスター歯磨きとシーサイドが
コラボした展示会。
歯磨きを数個買うと応募券が当たるというやり方で、
子供が大量に歯磨きを買って、話題になった。
この車がオートロマンが輸入したウルフカウンタックの本物。

これが当時の私の名刺

でも今日の車はそれとは幾分違い、
500Rと呼ばれたモデルです。
この車は私がシーサイドで営業職として波に乗ってきた1987年頃
日本にやってきました。
例のブームが落ち着いた頃です。
この車の最大の特徴は、フロントからリヤーにかけての派手なストライプ
とにかく目立ちました。
ただし、走らせたら特別早くは無い。
大体チューニングカーとか、ワンオフもデルとか
性能がノーマルと比べてはるかに良い車は、まず少ないのが現実です。
ターボの後付けとか、スーパーチャージャーとかは別ですが。
例えば、ケーニッヒフェラーリ。
ツインターボの512BBケーニッヒに数回乗りましたが、
こいつは、メチャ早かった。
さて、この500Rと呼ばれたモデル
シーサイドが輸入し、直ぐに名古屋のオーナーへと納車されました。
確か 1978年頃。
数ヶ月して戻ってきたので、再販し今度は千葉のお客様が付きました。
事件はその方から整備で車が戻って来て、
土曜日にショールームに入れた後に起きました。
当時のシーサイドのショールームは、車の出し入れはフロントのドアーだけ。
観音開きのガラスドアーを開けて出し入れするのですが
幅が狭く、面倒な仕事でした。
この時は夕方、車が戻ってきたので、
そのままバックから入れて一番出しやすい場所を与えられました。
今の私なら、セキュリティを考えて、
ショールームの奥に入れて他の車でガードするでしょう。
それでも土曜日だったので、次の日はお休み。
例のブームも終わり、
日曜日にショールームを開放することはもう終わっておりました。
でも念の為にと、
玄関の入り口前に斜めに ベンツの450SEL 6、3 を置きました。
ところが事件は翌日の朝、
私の杉並の安アパートに掛かってきた電話で始まりました。
まだ全然携帯など無い時代です。
電話の主、シーサイドの社長 己晴さんは開口一番!
「鞍ちゃん、車が盗まれたよ、、、」
えっ! と絶句した私は自分の脳が情報を整理するのに数秒かかりました。
確か昨晩は、500Rを入れていたはず
すると予想通り、己晴さんは、カウンタックが無いんだよ、、、
ベンツは? と聞くと
エンジン掛けたまま、向かいのガソリンスタンド脇に捨ててあったと。
それを聞いた私は、ピンと閃きました。
こいつはプロの窃盗団では無いな、と。
プロならば、金目の物は全てさらっていきます。
このベンツ 450SEL 6,3も当時の最高級車。まだAMGが普及する前です。
と言う事は、スーパーカーマニアか、単なる憧れから盗んだのか?
でも待てよ、カギはどうした?
今なら考えられない事ですが、当時シーサイドはショールームに置いてある
車のキーを簡単なケースに入れてカギを掛け、営業のデスクの脇に置いてあったのです。
なので、車を盗んだ彼らは(結果3人組) まずビルの裏手のトイレの窓を壊し
そこからショールームに侵入、
多分金目の物を探して営業のデスクを物色していたら、カギ箱を発見
そこからカウンタックと、表のベンツのカギを見つけた。
次は入り口のガラスドアーのカギの謎です。
最後に出る営業担当と、己晴さんはキーを持っていたのですが
この時何故か、誰かの営業のデスクの引き出しにスペアが入れてあったのです。
事件後、新宿署の刑事に聞いた話。
あとは簡単ですよね、
まずベンツをどかし、道路の反対側にぶん投げ、
ショールームのドアーを開けて、カウンタックに火を入れておさらば。
そう、私の読み通り、こいつらはプロの窃盗団ではなく、
チンピラの暴走族、
外車のショールームに入れば何か金目のものがあるだろう、、、、
そうしたら、思わずデカい獲物を見つけたと。
同じく、新宿署の刑事に聞いたら
この3人の中に主犯格のボスがいて
こいつがスーパーカー大好き(笑)
なので、売って金に換えるとかでなく、単純にこいつを走らせてみたかった。
それで盗んだと。
確かにこの手の車を金に換えるのは、プロでも難しい事。
ましてや、世界に一台しかない限定車ではなおさらです。
これがこのストーリーの序章です。
以前にもこの車をこのブログで紹介していますので、ご覧ください