皆さん おはようございます。
キャステルで販売するビンテージスポーツカーの中でも
ミウラは、かなり難しい部類の一台になります。
運転はもちろん、整備やレストアに関してもかなり面倒な車。
しかし1960年代の後半、世界に先駆けて量産ミッドシップエンジンを
積む車として開発し、とにもかくにも750台も作られた。
その努力は尊敬に値します。
この車の魅力を上げればキリがありませんが、
まず第一に動力的な魅力。
簡単に言えばエンジンのパフォーマンスです。
ただ今どきのコンピュータエンジンとは訳が違い
性能を十分発揮させるには相当の度胸と運転スキル、また慣れが必要です。
私は今までこの仕事に携わってきた45年の間に大体50台位は運転してきました。
その中で感じたことは、これほど個体差がある車も珍しいなと。
ディノもそうですが、やはりこの年代の場合、
エンジンの心臓部である、クランクシャフトとかカムシャフトなどの
真円度、バランス取りなど、わずかではありますが誤差があった様です。
当時、測定するにおいてもコンピュターなど無い時代です。
だから、あとは調子の良いエンジンに当たったオーナーはラッキー
そうでない人はアンラッキー そういうことです。
勿論私の場合、50台もの経験があるわけだから、
個体差は当然わかります。
ですので、キャステルで販売するミウラは確実にトップレベルだと自信を持って言えます。
そうでなければ私の経験の意味が無いと思います。
ではファーストインプレッション。
ようやくミウラを走らせることを許可され、簡単なレクチャーを受けて
シートに滑りこみました。
シートは完全なバケットの一体式でリクライニングなどは一切しません。
前後のスライドのみです。
まず私はブレーキ、クラッチのペダルを踏んでみました、
通常の吊り下げタイプではなく、床に支持点がある「オルガンタイプ」です。
しかもかなりの大きなストローク。
私は身長172センチですが、足をペダルの踏み代に合わせると
ステアリングまでの腕の長さが結構遠い、
シートは角度は調節できないので、昔のレーシングカーみたいな
ストレートハンドル。
これには少し戸惑いました。
例えば細かいカーブが続くようなワインディングロードでは、
当然ステアリングに的確な指示を与えることが必要です。
ところがミウラの場合、ステアリングに腕を近づけようとすると
今度は足がペダルに近くなりすぎて「ガニ股スタイル」になる。
それがこの車の運転が難しい、一つの要因です。
今の車と違い、このころの車は両手、両足をコントロールすることが必要
その時、ミウラのような速い車で運転操作に一体感が無いのはかなり怖い、
そう感じるのが普通です。
次に教わったように、事前にアクセルを数回ストロークして(かなり重い)
セルを回します。
するとエンジンは意外とあっさりかかりました。
けれど消音機つまりマフラーはめちゃ小さなものしかついておりません。
ちなみに「イオタ」はタコ足から完全にストレートでした。
なので、ブリッピングをくれてやるとかなり大きなサウンド。
静かな住宅街では目立ちすぎ
幸いシーサイドは国道沿いにお店があったので、しばらく暖気をしました。
エンジンが少し温まったので、私はシフトを1速に入れてみました。
ストロークが大きく、かなり反力も強めです。
ここらもフェラーリの繊細さとは異なります。
私はエンジン音に気後れしないように、アクセルを踏み
クラッチを戻しました。
ようやくスタートです。
当時のシーサイドのショールーム
この沼津ナンバーのミウラも私が販売した。
オーナーはまだ若い子で足で乗っていた。

この一台しか無いミウラのルーフカットした車は、
一時日本に存在し、私もドライブさせてもらった。
その頃は、グリーンのメタリックだった。
P400がベース

続く