
今日はビンテージカー市場に多く出回る
”Dino246GTと246GTS”の解説です。
このディノはフェラーリの作ったプロダクションモデルの中でも
かなりの成功を納め、総生産台数も70年代初頭のモデルとして
ナンバーワンの約3900台を作りました。
内訳は
246GT 2487台
246GTS 1274台
206GT 152台
246GT、GTSの内訳は
E型 2896台
M型 506台
L型 387台
GTSはほとんどが最終のE型 つまり1972年~74年の生産です。
簡単にそれぞれの特徴を説明すると、
「Lタイプ」
センターロックのホイール、それを固定するスピナーが一番の特徴。
外見上の見た目では解らないが、
フロントボンネット、エンジンフード、トランクフードがアルミで作られている。
L とは LIGHT (軽い)という意味
内装はダッシュボードデザインが206と同じでグローブボックスが横に長い。
ステアリングが40センチ径と大きなウッドかレザーのものが付く。
ヘッドレストがシート一体ではなく、後ろのバックパネルに着く。
助手席にフットレストとサイドバーが付く。
などなど、次のMタイプとは異なる部分が多い。
「Mタイプ」
これはLタイプの量産型と言えるモデルで
エンジンフード、トランクフードをコスト削減でスチールにした。
ダッシュボードのデザインを変更し、使いやすくした。
ヘッドレストをシート一体にした。
フロントバンパーはL型と同じく、グリルに加え込むデザイン。
「Eタイプ」
これは最も数多く作られたディノ。
理由はこの頃からアメリア市場の要請を受けて、初めからUSA仕様を作製したから。
US仕様とは。。
フロント、リヤーのボデイサイドに
当時法律で定められていたマーカーランプが付く。
これは夜間スモールライトを点灯すると、
同時に中に埋められたバルブで明るく照明される。
また、フロントのマーカーレンズが欧州仕様とは異なり、
四角い、余りスタイリッシュではないデザインにされている。
フロントバンパーも食い込み型ではなく、
割と短いシンプルなものに変更されている。
私的にはコスト削減の為の様に思う。
ワイパーもEタイプは、いわゆる観音開きではなく、現行車と同じ
片側に左右とも寄せるタイプ。

これらの詳しい解説はウイキペディアにも書かれているので、
興味のある方はそちらをご覧下さい。
今回は一般的な買い方と見方を解説します。
それはこの車に数多く乗り、数多く売った私にしかわからない部分だからです。
(販売台数150台以上)
まずディノが目の前にあるとして何から見るべきか?
一番最初はボディラインです。
フィオラバンティ氏がデザインし、ピニンファリーナ監修のもと、
スカリエッテイというボディ工場で作られたこの車のボディデザインは
近年に於いて誰もが絶賛するスタイルです。

(こちらは206発表間近のお披露目時の写真)
ところが私がシーサイドモーターに入社した頃(1974年)
数台のディノが国内にあり、私も現物を見たのですが、
最初はそれほどの感動は無く、「小さなボディのフェラーリ」位の認識でした。
今思えば、赤はくすんだエビ茶の赤色、黄色はビビットな黄色ではなく
黄土色?のような冴えない色がオリジナルだったせいかもしれません。
やはりボディカラーというのは非常に大事。
最近の当社の塗装は、
赤はビビッドなブラッディレッド (血の様な濃い赤)
黄色はかなり濃い、けれど華やかな印象を受けるブライトイエローに塗ります。
次に大事なのはこの車には無数のラインがあるという事です。
例えば4つあるフェンダーに付くフレアーのライン
ドアーサイドの真横に走るライン
トランクデッキのエッジ部分など
これらが綺麗に出ていないと、何となく丸い団子?のように見え
スッキリとした印象には見えません。
次は内装。
これは当社のディノを見てもらえばわかりますが、
ダッシュボードの古さ、シートのくたびれ具合
カーペットの状態など見た目で判断できます。
次は肝心のエンジンです。
これについて説明するとかなり長くなるので、
まずは始動がよく、アイドリングが安定していること。
1速、2速の時の加速がよどみなく、綺麗に5000回転位まで吹け上がる事。
その加速時にマフラーから煙が出ていないこと。アイドリング時も同じ。
次にミッションですが、
よく聞かれるのは「ディノのシンクロは弱いのが当たり前?」
これは間違い。
仮に1速から2速へのシフトアップ、もしくはダウン
この時にガリッと鳴く、或いは、はじかれる
これらはシンクロの傷みです。
あまりひどくならないうちにオーバーホールする。
これが解決策です。 当社にはベアリングを始め全ての部品があります。
と、ここまで簡単に書いてきましたが、
やはり初めてディノの実物を見た。
あるいは欲しいけれど、どの位がアンダーラインかわからない。
これは当然です。
なので、まずはプロの私に相談する。
これが一番安心、結果オーライです。
話はそれますが、
当時のフェラーリの主流は 12気筒モデル
同時期では 1968~1974年では 365GTB/4 デイトナ
それ以降では 365GT/4 BB
と、6気筒で190馬力のディノはどちらかというと、
プア―マンズ フェラーリ
貧乏人のフェラーリ そんなイメージでした。
今では512BBと並ぶ相場になっておりますが。
私が記憶している一番安かったディノは 1980年頃で350万
それくらいでした。
物価が今の3分の一くらいですから、今でいう 1000万くらい
だから私は1990年代は、売値1500万前後で販売しておりました。
勿論特に修復などは行いませんでしたが。
今から30年前位の話です。
日本で一番数多くのディノに乗り、一番多くのディノを販売してきた
キャステルオート 鞍に全てお任せください。
これがファイナルアンサーです。
今月は右ハンドルのディノを2台
お客様からのリクエストで売りました。

2台ともロンドンからなので今回のウイルスの影響で運ぶのに難儀しています。
もう一台は 赤のLタイプです。
合計ひと月に3台は記憶にない、新記録です。
有難うございます。
来月も手綱を緩めず、気持ち新たに2台、3台と
キャステルのプレート付けた素晴らしいディノを提供していきたいと思います。
どうぞ宜しくお願い致します。
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(フロント しのもと迄)
